乳がん
乳がん
乳がんは乳房にある乳腺に発生した悪性腫瘍です。乳腺には母乳をつくる小葉、母乳を乳頭まで運ぶ乳管があります。乳がんが乳腺組織内にとどまっているものを「非浸潤がん」、がん細胞が乳腺の外に広がったものを「浸潤がん」と呼びます。乳がんになっても早期に発見できれば、ほとんどのケースで命や乳房を失うことなく治すことができます。乳がんは比較的進行がゆっくりしているものが多いので、定期的な検診を受けて早期発見に努めましょう。
乳がんは乳腺に発生するため、乳腺の多い場所にできやすい傾向があります。実際に、乳がんの約半分が乳腺の多い乳房外側上部に発生し、次いで乳房内側上部、外側下部に発生しやすいとされています。専門医がしっかり検査しないとしこりが乳がんかどうかを見極めることはできません。しこりがあったら自己判断せず受診するようにしましょう。
症状がない場合も定期的な検査をおすすめしています。当院では早期乳がんの発見が可能なマンモグラフィ検査を行っています。将来のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を守るためにも定期的な検査を受けましょう。
乳がんのステージは、しこりの大きさ、皮膚病変の有無、リンパ節や他臓器への転移の有無などによって細かく分けられています。しこりの大きさは最大径を用います。また、リンパ節転移がある場合、脇の下、鎖骨の横、鎖骨の上下など転移した場所によってもステージが変わります。
他の臓器への転移 | 転移なし(M0) | ||||
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リンパ節への転移なし(N0) | 脇の下(N1) | 脇の下or鎖骨の横(N2) | 脇の下と鎖骨の横or鎖骨の上下(N3) | 転移あり(M1) | |
しこりを認めない(T0) | ⅡA | ⅢA | ⅢC | Ⅳ | |
最大径が2cm以下(T1) | Ⅰ | ⅡA | ⅢA | ⅢC | |
最大径が2cm-5cm(T2) | ⅡA | ⅡB | ⅢA | ⅢC | |
最大径が5cm超(T2) | ⅡB | ⅢA | ⅢA | ⅢC | |
大きさを問わない(T4) | ⅢB | ⅢB | ⅢB | ⅢC |
乳がんは遺伝や環境などの影響を受けて発症リスクが変わってくる場合もあります。リスクファクターを知ることは、必要な検診頻度や何歳から検診を受けるかなどの適切な判断に役立ちます。
閉経後の肥満がある場合、特に注意が必要です。
飲酒・喫煙
糖尿病
エストロゲン・プロゲステロン併用のホルモン補充療法
長期の経口避妊薬服用
出産経験がない・授乳経験がない・初産年齢が高い・初経年齢が早い・閉経年齢が遅い
乳がんや卵巣がんを経験した血縁者がいる